ちょっと指してみようかと思う、一手損角換わり。

最近少し相居飛車の後手番で、一手損角換わりを指してみようかなと思う時があります。

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一手損角換わり

個人的に一手損角換わりは「指すことはないだろうな・・・」と思っていたのですが、
何点か考え直すことがあり、指してみようかなと思うようになりました。

まずその何点かの理由を書きたいと思います。


その①・・・横歩取りが難解過ぎる。

まずコレが大きな理由です。
横歩取りが難解過ぎてついて行くのが大変すぎます。(特に後手番)

最近では下図の様に、序盤から飛車をぶつけたりする定跡なども発見され、
定跡を理解するのが大変ですね。

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まあ定跡を憶えたり理解したりする時間があればいいのですが、
そんな時間はあまりないですし・・・

それとこの戦型ばかり勉強すると言うのもちょっと・・・
(アマチュアでは振り飛車・矢倉が多いので)


あと個人的に横歩取りの後手番を指してて思うことは、
「研究手があっても、先手が横歩を取らなければ簡単に回避されてしまう」
と言う事をいつも気にしています。

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僕は横歩取りの後手番を指すからには一応、自分なりに考えた研究手を用意してますが、
先手が横歩取りに自信がなければ横歩を取らず、飛車を引けば相掛かりの力戦形になります。

まあコレは後手に全く不満がなく、指されて困ると言う事はありませんが、
僕はこうされるとその瞬間ガッカリしてしまって、気が抜けやすいですね。


その②・・・ノーマル角換わりも難解過ぎる。

角換りを指すのであれば、手損をしないノーマル角換りを指せばいいじゃないか。
と言う人もいると思いますが、ノーマル角換わりも超難解であまり指そうとは思いません。

特にプロ間でよく見る下図。

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ここから現在の定跡では、△42金上▲28飛△42金引▲29飛・・・などパス合戦が定跡になっています。



このパス合戦は最近吉田プロが出された定跡本↑に詳しく載っていて
僕もサラッと読みましたが、ハッキリ言って難しすぎますね。

金の位置や飛車の位置が1マス違うだけで、仕掛けが成立するしないが決まります。

これもしっかり勉強すれば理解出来るとは思うのですが、
ちょっとアマチュアが指す将棋ではないと感じました。

以上の2点理由で、選択肢に残ったのが一手損角換わりでした。


現在、一手損角換わりは下図が最新形です。

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持久戦になれば△84歩型が生きるので、先手は一手得を主張して急戦にします。
図からは更に進み、一例として下図。

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先手急戦を仕掛けますが後手の受けも巧みで、結局持久戦調になります。
この局面はまだ優劣が解りません。

上図ようにまだ結論が出ていなく、工夫ができる局面が多そうなので、
それだったら一手損角換わりも、指してみてもいいかなと思うようになりました。

他にも棒銀など手強い急戦はあるのですが、今のところ後手が一気に潰される急戦はありません。

あと角換わりは横歩取りよりも、似たような局面が出現し易いと思います。

そうなるとある程度攻め・受けの形などの経験も生きやすいと思いますし、
研究もしやすいと思いますね。


最後に一つ重要な要素があります。
それは先手が▲76歩と▲26歩の、初手どちらにも対応していると言うことです。

普通の角換わりは初手▲26歩には出来ません。
初手▲76歩も△84歩に、▲68銀と指されれば矢倉模様になります。

しかし一手損角換わりは、どちらにも△34歩と指せば出来る戦法です。
これはかなり大きいと思いますね。

「後手番の勉強を、あまりしなくてもよい」と言うのは、
アマチュアには魅力的だと思います。(ホントはした方がいいけど・・・)


今まで一手損角換わりは指す気はしませんでしたが、以上のような理由で、
「ちょっと指してみようかな」と思うようになっています。

将棋に対する考えは、その時々によって変わるなぁ・・・と感じました。



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第7回朝日杯将棋オープン戦 決勝 渡辺二冠VS羽生三冠 を観戦した感想。

今日は2014年2月8日に行われた、
第7回朝日杯将棋オープン戦 決勝 渡辺二冠VS羽生三冠 を観戦した感想を書きたいと思います。


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渡辺二冠の先手で戦形は横歩取りに。
この▲68玉~4筋の歩を伸ばす作戦は、現時点では最新の形です。

▲68玉~の作戦は非常に優秀で、これから主流になって行く可能性が高いでしょう。

そしてまだ序盤ですが、この局面はもう勝負どころになっています。
と言うのも、最近出た豊島プロの本に類似形が載っており、その本によると、



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参考図

上の参考図の様に後手が▲46歩と突いた時に動かず、▲45歩と普通に指された時点で、
後手が作戦負けになってしまうと書いてありました。

参考図は△62銀51金型ですが、本局の△72銀61金型でも、
▲45歩と指されたら作戦負けだと思います。


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そういう事で羽生三冠は△86歩~動いていきました。

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羽生三冠の動きに合わせて、▲44歩の軽い突き捨て。

この形は▲45歩を取られそうになったら無理に守ろうとせず、
▲44歩と突き捨てるのがコツです。

先手は一歩得しているので、突き捨てても歩損にはなりません。

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序盤の細かい動きから、少し穏やかな展開になり図に。
この△62玉は羽生三冠の工夫が一番出た局面だと思いました。

と言うのも過去の実戦例では▲44歩の突き捨てを入れられたあとでは、
玉を1筋方面に囲い直したりする実戦例が多かったです。(下図)

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参考図

しかしこの局面は2つ気になる点がありそれは、

1、将来的に▲42歩や▲43歩などが痛打になる。
2、43の開いた空間が常に傷になる。

と言う問題点を抱えています。
これではあまり囲い直した意味がありません。

それでは本局のように、9筋方面に早逃げしたとしても△62銀51金型では、
△61玉としても玉の小ビンが開いたままで、これも危険です。(下図)
(他にも飛車がいなくなった時に、▲84桂や▲83~と言うのも気になる)

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参考図

「9筋方面に早逃げした時に、しっかりとした美濃囲いが用意されている」
これが羽生三冠の工夫なのでは・・・?と僕は推測します。

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進んで図に。
この▲44歩で後手が見た目以上に、困っているのではと感じました。

後手はこの▲44歩を、巧く処理する形があまりありません。
部分的に急所の形ですね。

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困ったかに見えましたが、羽生三冠も巧い対応を見せます。
この△15飛は盲点になりやすい手だと思います。

恐らくこの△15飛以外では、先手がすぐに優勢になったでしょう。
△85飛などでは▲75歩くらいで苦しいかもしれません。

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▲16歩に△47歩成は、羽生三冠らしい切り返しでした。

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この△44角は驚きました。
本譜の▲66角で駒損するからです。

ここでは渡辺二冠が良くなったんじゃないかと思いました。

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一直線に進みましたが、羽生三冠はこの△55角に期待したのでしょう。
この瞬間後手は大きな駒損なので、相当怖い局面です。

この局面を初め見た時は、
「羽生三冠はこれで指せると思っているのか・・・凄いな・・・」
と思いました。

しかし今この局面を冷静に改めてみると、やはり先手が少し良いような気がします。

本譜は大決戦でしたが、普通に▲33成銀と桂馬でも取っておけば、
先手が微差でリードしているような・・・

課題の局面だと思います。

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大決戦後は、羽生三冠の細かい技が光ります。
とても参考になりました。

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渡辺二冠も懸命に攻めますが、羽生三冠の正確無比な受けになかなか良くなりません。
そしてこの△52銀直は、受けの決め手に見えましたね。

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羽生三冠は寄せも光速でした。
一瞬で読み切るのは凄すぎます・・・

以下、羽生三冠が勝ちました。

棋戦の決勝戦ふさわしい大熱戦で、とても見応えのある将棋でした。
羽生三冠の早指しでの強さは異常ですね。

来年もこのような大熱戦が見たいです。